はじめに
普通このような内容は「数学についていろいろ解説するブログ」に書きそうだが、以下の内容は「解説」というより「考察」に近いのでここに投下することにする。(棲み分け基準が未だにガバっているが気にしてはいけない)
導入
L^p空間とは上で定義されたなる可測関数の集合に対してノルムを定めたものである。*1
L^p空間には一般には包含関係はない。ならヘルダーの不等式を適用することによって、のときにが言えるため、が言える。しかしのときにはこのような性質は言えない。例えばのときには
はだがではない
はだがではない
といった感じである。関数がのどれかに属しているかどうかは通りあるが、その8通りそれぞれに対応する関数は存在するだろうかと考えたわけである。するとかつであってでないような関数が思いつかなかったので、もしやと思って証明することにした。
一般の場合での証明
一般にを仮定したときに、が言えそうな気がしたので証明してみる
これが示せれば、特殊な場合としてが言える。
無限の場合が怖いのでかそうでないかで場合分けする。
の場合
をかつと仮定する。
このとき、とすると、(ここではが可測関数であることからである。)
となる。ここで、がであることから、であり、である。
また、がであることから、が言える。
よってもとの式は有限値を取る。特にが言える。結局はの元となる。つまり
となる。
の場合
とすると、が成立する。このとき、
ヘルダーの不等式より、
となる。
新しい記号の定義
既に誰かが同じようなことを考えているかもしれないが、とりあえず
に対して、
と定義する。
先程示したとおり、ならばとなる。よって
,
としてみると、のときに、上限と下限の定義よりとなるようなが存在するため、となる。
結局は連結な区間となる。
具体例
ここでは特筆のない限り上のルベーグ測度で考える。
を正の実数として,はルベーグ測度とする。
この関数はでであり、でとなる。よってが上可積分であるための必要十分条件は
かつである。
よってこのとき、
となる。
に対して
とすれば、となるため、任意の開区間に対してとなるような関数が存在することになる。
のときにとすると
ならばとなる。よってこのとき、
となる。
とおくと、ならばとなる。よってこのとき、となる。
とおくと任意のに対してとなるため、となる。
として、とする。(ただしはルベーグ測度)
このとき、とおくと、のときにとなるためとなるが、有界ではないためではない。よってとなる。
,を2以上の正の実数として、とする。(ただしはルベーグ測度)
このとき、とおくと、のときにとなるためとなるためにはが必要十分である。また有界ではないためではない。よってとなる。
L(f)の形
今の所の形の候補としては以下のようになる。ただしである。
未解決なこと
多分は開区間、つまりはのどれかの形になるのではと思ったのだけど確証がない。(注:ここで、とする)
*1:ほとんど至るところで一致に対して同値関係を定めて、その同値類で割る。そうしないとノルムの性質を満たしてくれない。そこは本筋にあまり影響しないのでかいつまんで説明する