頭脳王の理系問題についてあれこれ書くやつ

問題文は各自ググってください

もしかしたら高校生クイズも混じってるかもしれないけど許して亭許して

超数理能力問題その1

ロピタルの定理を使うやつ

「とりあえずいろいろ詰め込みまくればええやろ」の精神好き

 

↓は逆張りオタクをこじらせた結果ロピタルの定理を使わずに解いたものである。

shakayami-math.hatenablog.com

超数理能力問題その2

$$f(x)=\frac{5ex^3+2\pi x^2+3\sqrt{2}x-7}{\log_{4}{16}+\log_{6}{36}+\log_{9}{81}}$$

よく見ると分母が定数で草

数III未履修勢はe(ネイピア数)のことは知らないと思うけど、定数として扱えばおk。

正解率が18%もあるので、そこまで難しくはないよね。

超数理能力問題その3

方程式$\frac{1}{x}+\frac{1}{y}=\frac{1}{n}$が$1\leq x\leq y$を満たす整数解$(x,y)$をちょうど1000個持つような正の整数$n$をすべて決定せよ。

†超数理能力問題†の中では一番まともな問題だと思っている。ヒントは「1999は素数」である。

積み上げられたブロックの個数を数えるやつ(毎年恒例)

これは毎回傾向が決まっている。基本的には等差数列の和みたいなノリで考えれば良い。第一回大会で出題されたときの出場者の解説がすべてである。

というか、計算が早いというのはあまり本質ではないと思っていて、むしろブロックの段数とかを数えるのが早すぎないですか?

東京からパリにボールを投げるやつ(2020年)

地球平面協会の差し金によりただの斜方投射になってしまって草

↓のリンクは地球が球体の場合で解いてみたやつです。

shakayami-math.hatenablog.com

太陽が無くなって10年後の地球の気温(2020年)

これは、問題設定が謎すぎる

まず、宇宙の熱容量が小さすぎる。そして宇宙が熱すぎる。10年間の間に地球が影響させられる分の星間物質の量がああなるということなのだろうか?

自分の直感では、答えは-270℃(宇宙背景放射の温度)になると見ている。10年でどれだけ平衡状態に近づくかは不明だけれど、少なくとも問題文では熱平衡状態であることを仮定している。

 

少なくとも、この値を信用しすぎるのはやめるべきで、あくまでクイズ番組だと、話半分に聞く程度がいい。

x^3+y^3+z^3=42(2020年)

時事ネタ。そして自分のTLでは大炎上してた記憶がある。

対処法としては、覚える。以上。と言ったところである。

まあ、円周率を何桁覚えられるかを競ったり、素数をたくさん覚えたりするということにも競技として一定の価値はあるだろう。しかしそれは数学とは別ゲーになってしまっているけれども。

「sum of three cubes問題」で検索検索ゥ~~

巨大化orミクロ化して走るやつ(ほぼ毎年恒例)

基本的には"きはじ"である。

この手の問題が出たときのあるあるだけど、専門家の人はやたら「長時間の収録による疲れ」を強調しがちである。(実際朝~23時まで収録しているらしいので、疲れるだろうなとは思う)

単位換算がちょっと面倒くさい。km/hからm/sに変換する際には、3.6で割ればよい。掛けてはダメである。

あとは、たまに秒単位まで数えさせるものもある。これは計算が大変だ~~(なお有効数字) 

 

…ところで、この手の問題で一番気になるのが「走るスピードは身長に比例する」である。

体が$n$倍に巨大化すると、一歩の長さは$n$倍になるけど、一歩を歩くための時間は$1/\sqrt{n}$倍になるため、最終的な歩行スピードは$\sqrt{n}$倍になる。

地球を貫通する穴(2019年)

ご丁寧に公式が書いてある(優しい)ので、丁寧丁寧丁寧に計算しましょう。申し訳程度の微分要素がある。(そして頭脳王にありがちな専門家特有の誇張表現もある。)

え、なんで単振動になるかって?それは↓のリンクを見ればいいよ(ダイレクトマーケティング

shakayami-math.hatenablog.com

ブラックホールの直径(2018年)

半径ではなく直径であることに注意。

シュワルツシルト半径を厳密に求めるためには一般相対性理論の知識が必要になりそうだけど、「第二宇宙速度=光速になる状況」だと考えれば同じ答えになる。

有効数字3桁…お疲れさまです。

年利2%で倍になるまでの年数(2011年)

(実は問題の使い回しがあった)

これの答えは

$$\mathrm{ceil}\left(\frac{\ln{2}}{\ln{1.02}}\right)$$

である。ここで、$\ln(1+x)\approx x$というxが0に近い時に成り立つ近似公式があるので、

$$\frac{100\ln{2}}{2}$$

みたいな感じになる。ここで、$100\ln{2}$は約69なので…という感じである。

ただこのやり方だと誤差がどれくらいなのかが見えにくい。

72の法則というものがあるらしい。つまり、72/2=36という感じである。

なぜ72なのかというと、恐らくは69に近くて約数が多いから、といったのもあるだろう。

パズルの足りないピースを書くやつ

これは有名で、各ピースについて、凸の部分と凹の部分は個数が等しくなるため、それぞれを数えればOKである。

ここで心配になるのが凸2凹2の場合である。「凸が向かい側になっている場合」と「凸が隣り合っている場合」の2通りから絞ることができないのである。

しかしその心配は必要ない。結論から言うと、「凸2凹2になる場合は問題不成立になるため出題されることはない」からである。

つまり、「凸2凹2の場合、パズルの組み立て方によって解が異なる」のである。

そもそもパズルの組み立て方自体一通りとは限らないのである。実際に出題される状況は、「パズルの組み立て方は複数通りあるけど、どのような組み立て方でもピースの形は一意に定まる」ものしか出ないようになっている。

考察ゲーム(ニム)

最近は別のゲームになってる

この手の不偏ゲームに成り立つ一般論だが、これはGrundy数というものを考えればよい。

Grundy数とは、ゲームの局面に対して定められる整数のことである。

  • 自分の手番では操作後に局面のGrundy数が0になるようにすればよい
  • 相手の手番ではどのように操作しても局面のGrundy数は0にはならない

という状況が常に成り立つようにし続けると勝つことができる。

このゲームに対してどのように整数を定めればいいのかと言うと、

「各山にある駒の個数の総xor」である。

ここで、xorとは排他的論理和である。2進数に直した後に繰り上がりを無視した足し算を行っていると考えればよい。詳しくはググって

例えば3,6,5という状況なら、011,110,101のxorを計算すると0になるため、自分の手番が回ってきた時にこうなら必ず負けるのである。逆に自分の手番のあとにこのような状況にし続けることができたら必ず勝てるのである。これは山が3つだろうが4つだろうがやることは同じである。山が1つ増えたからと言って難易度は10倍にはならないです。

初期配置が3 5 6 7ならば、全体のxorが0になるようにすればいいので、「3 2 6 7」または「3 5 1 7」または「3 5 6 0」 のどれかを選ぶ必要がある。逆にそれ以外を選んだら負ける。

また、「最後の山を取ったほうが勝ち」か「最後の山を取ったほうが負け」かどうかに関わらず、やることは基本的には同じである。後者は最後の動きがちょっと違うだけである。

 

ーーー

 

気になる点が一つある。それは「先手・後手をどのように決めているか」である。これは「選手が決めている」ならばいいのだけど、もし「ゲームマスターが決めている」ならば最悪である。

何故かと言うと、もしそうならばゲームマスターの裁量によって勝敗をコントロールすることが可能だからである。

つまり、こうである。

  • 贔屓の選手には、必勝手番を初期配置にさせる。選手がミスったらAIもあえて悪手を打つことでチャラにする*1
  • 噛ませ犬にさせたい選手には、必敗手番を初期配置にさせる。AIもガチで戦う。

実際に不正が行われていたのかは知らない。「犯行は可能だけど証拠がない」といったところだろう。疑わしきは罰せずなので、これ以上の深入りはしない。

 

…おっと、こんな時間に誰だろう?

15パズル(2020年)

2 3 7 4
1 6 11 8
5 10 14 12
9 13 15  

よく見ると全くぐちゃぐちゃになってないことがわかる。そりゃ数秒で解けるでしょ。

空白のマスを

4
6 8
10 12
13

みたいに動かせればゴールはすぐそこである。

スーパー怪獣の声を届かせるための体長(2018年)

条件文がほぼ答えである。きれいに48の3乗になっているのが良心的

地味に地球平面協会の差し金が入ってるけど、この問題で気にすると斜方投射よりもややこしくなると考える。

実際に問題文通りの比例関係が成り立つかどうかは…知りません。

富士山のスキージャンプ(2015年)

斜方投射が出る場合たいてい45°なので、$v^2/g$と覚えてしまったほうがいいのかもしれない。

エネルギー保存則より$v^2=2gh$なので答えは$2h$となる。きれいに富士山の高さの2倍になるのが面白いよね。

DNAを解読するやつ(恒例)

右下注釈欄定期

スカイツリーからリンゴを落としたときの衝突するときの速度(2011年)

$v=\sqrt{2gh}$で、$h=634[\mathrm{m}],g=9.8[\mathrm{m/s^2}]$

なにげにkm/hに直すのがいやらしい。

最近の頭脳王はルート計算をする必要がないものが多いけど、これについてはルートの計算をする必要がある。ルート計算の方法といえば開平法が有名である。

太陽の温度を求めさせるやつ

ご丁寧に4乗根の値が書いてあるので、太陽の温度が約6000℃という知識があればエスパーすることができる。ここで絶対温度セルシウス度の換算のし忘れに注意しよう。

恐竜が生きていた年代を求めさせるやつ

炭素14年代測定法の理論的限界って半減期の10倍程度なので、明らかにやばいことをしているんだよな(注:問題文の仮定には「放射線年代測定法の理論的限界は考慮しない」とある)

最後に

2021年2月19日(金曜日)21:00から日本テレビ系にて放送するらしいですね

*1:実際にAIが悪手を打った場面があったのかは不明である。