円周率がずっと続くのは何故?

ぼーっと生きるのは、やめようね!

「ずっと続く」とは、

円周率を10進数で小数展開すると、3.14159265358979323846264338327950288419716939937510...みたいな感じでずっと続く。一方、8/125を小数展開すると0.064となって続かない。

 

また、1/3=0.33333.....や、1/7=0.142857142857142857....みたいなやつも小数展開した時にずっと続くが、こいつらは同じような数の並びが永遠と繰り返されるような感じとなっている。

 

実数を小数展開で表した時、以下のように3つのグループに分けることができる。

  • 有限桁で終わる(例: 1 2 1.5 3.14 8/125=0.064)
  • 無限桁続くがループしている(例:1/3=0.3333... 1/7=0.142857142857... )
  • 無限桁続いてかつループしない(例:√2=1.41421356... e=2.718281828459045...)

 

ここで、円周率は、上記の3つのグループのうち、「無限桁続いてかつループしない」というグループに入っているのである!

 

実数のグループ分け

実は上記のグループには名前がついている。

「有限桁で終わる」グループを「有限小数」、「無限桁続くがループしている」グループ「循環小数」、有限小数循環小数を合わせて「有理数」と呼ぶ。

一方、「無限桁続いてかつループしない」ような数のグループのことを「無理数」と呼ぶ。

つまり、もとの問いを言い換えると、「円周率が無理数なのはなぜ?」になる。

 

円周率が無理数なのはなぜ?

ここで、「有理数」というのは、「分母と分子が両方整数であるような分数の形で表せるような数」であることが言える。よって、逆に言えば「無理数」というのは、「分母と分子が両方整数であるような分数の形で表せないような数」ということである。

 

ここで、誤解している人がいるらしいので補足しておくと、「円周率=『円周/直径』という分数の形で書けているじゃないか」と思うかもしれない。しかし、重要なのは「分母と分子が両方整数であること」である。つまり、「円周率が無理数」というのは、「直径と円周が両方とも整数となるような状況はありえない」ということを意味している。

 

よって、「〇〇が有理数であるのはなぜか?」という問いに関しては、実際に〇〇を分母分子が両方整数であるような分数の形で表すのをやってみればいいのである。しかし、「□□が無理数であるのはなぜか?」という問いに関しては、いわゆる悪魔の証明というやつで、□□がどう頑張っても(分母と分子が両方整数の)分数の形で表すことができないことを示す必要がある。

 

円周率が無理数であることを証明する方法はたくさんあるが、多くの場合背理法というものを使っている。

背理法というのは、一言でいうと「逆のことを仮定して矛盾することを示す」ような証明手法である。

円周率においては、「円周率が有理数、つまり分母分子が両方整数であるような分数表記で書けるということを仮定すると、なにか変なことが起こる」ならば、最初の仮定が間違いであるため、「円周率が無理数」であることが逆説的に分かる、という感じである。

 

結局のところ、NHKのとある番組みたいなことを言えば

「円周率がずっと続くのは、ずっと続かないと仮定したらおかしなことが起こるから!」

といったところだろう。

 

ちなみに、円周率が無理数であることは、1761年にランベルトが証明した。

ランベルトによる証明以外にもいろいろな証明方法がある。

例えばリンデマンの定理という飛び道具のような定理があって、それを使うと円周率だけでなく、それ以外のたくさんの数が無理数であることを示すことができる。

他にもWikipediaに載っているニーベンによる手法はほぼ高校レベルの数学で理解できるのでおすすめ。

あとがき

チコちゃんがわけわからんこと言ってたので、自分なりの説明を書くことにした。このブログの他の記事は数式がn個載っていて読者が2^{-n}倍になってしまっているのだが、この記事は数式を載せずに説明することに挑戦してみた次第である。