出典
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— 数学夏祭り@絶賛開催中🎇 (@mathmatsuri) 2020年9月2日
数学夏祭り 第3問は「三角関数」
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攻略法
冒頭に出てくるというものはチェビシェフ多項式と呼ばれているものである。それについての知識があるかどうかが重要なポイントである。
ちなみに以下のプログラムで解ける
import math K=1 for k in range(1,41): K=K*math.cos((2*k-1)*math.pi/79) print(abs(math.log(abs(K))/math.log(2)))
解答
79という数字が扱いづらいので一般化する。ここで79が奇数であることは使いそうなので以下のようにする。
$$K=\prod_{k=1}^{m+1}\cos\left(\frac{2k-1}{2m+1}\pi\right)$$
ただし、は正の整数である。ここではの場合を考えている。
ここで、のとき、である。ここではの絶対値を扱っているため、符号は無視して構わない。すると以下のようになる。
$$|K|=\prod_{k=1}^{m}\cos\left(\frac{2k-1}{2m+1}\pi\right)=\prod_{k=0}^{m - 1}\cos\left(\frac{2k+1}{2m+1}\pi\right)$$
以下の値についても考えてみる。
$$\prod_{k=m+1}^{2m}\cos\left(\frac{2k+1}{2m+1}\pi\right)=\prod_{k=m+1}^{2m}\cos\left(\frac{(4m+2)-(2k+1)}{2m+1}\pi\right)$$
$$=\prod_{k=m+1}^{2m}\cos\left(\frac{2(2m-k)+1}{2m+1}\pi\right)=\prod_{k=0}^{m - 1}\cos\left(\frac{2k+1}{2m+1}\pi\right)=K$$
結局、以下のようになる。
$$K^2=-\prod_{k=0}^{2m}\cos\left(\frac{2k+1}{2m+1}\pi\right)$$
ここでようやくという多項式が登場する。
以降では、便宜上以下の表記を使用する。
$$\theta_k=\frac{2k+1}{2m+1}\pi\quad (k=0,\ldots,2m)$$
...と解答を続ける前に一旦チェビシェフ多項式の性質について説明する
チェビシェフ多項式の性質
Wikipediaに詳細な説明が書いてあるが、ここでは以下の性質を利用する。
1.について
和積公式より以下の性質が成り立つ。
$$\cos{( (n+1)\theta)}+\cos{( (n-1)\theta)}=2\cos{\theta}\cos{(n\theta)}$$
より、とすると以下のようになる。
$$T_{n+1}(x)+T_{n-1}(x)=2xT_n(x)$$
$$T_{n+1}(x)=2xT_n(x)-T_{n-1}(x)$$
2.について
は次多項式である。これは数学的帰納法からわかる。
がそれぞれ次多項式であるならば、
は次であり、は次である。
よってとなるため、は次多項式となる。*1
3.について
のとき、の最高次の係数はとなる。
これも同じく帰納法で証明できる。で条件を満たしているならば、
$$T_{n+1}(x)=2x\left(2^{n-1}x^n+\cdots\right)+\left(2^{n-2}x^{n-1}+\cdots\right)=2^{n}x^{n+1}+\cdots$$
となる。第二項については最高次の係数に影響を与えないため無視して構わない。
4.について
を考えればOK。これはの場合に対応する。
よって
$$T_n(0)=\cos{\left(\frac{n\pi}{2}\right)}$$
となる。
解答(続き)
$$T_{2m+1}(\cos{\theta_k})=\cos{( (2m+1)\theta_k)}=\cos{( (2k+1)\pi)}=\cos{\pi}=-1$$
となっている。よって方程式はを解に持つ。
ここで、であるため、*2現時点で個()だけ解が確定している。
ここで、をについて微分することで
$$-T_{2m+1}'(\cos{\theta})\sin{\theta}=-(2m+1)\sin{( (2m+1)\theta)}$$
となっている。これにを代入して整理すると
$$T_{2m+1}'(\cos{\theta_k})=\frac{2m+1}{\sin{\theta_k}}\sin{( (2k+1)\pi)}=0$$
となっている。*3よってであるため、はを因数に含むことがわかる。よって、以下のように因数分解されることがわかる。
$$T_{2m+1}(x)+1=A\prod_{k=0}^{2m}(x-\cos{\theta_k})$$
ここで、
・の最高次の係数・・・
・の定数項・・・
となっているため、である。よって
$$T_{2m+1}(x)+1=2^{2m}\prod_{k=0}^{2m}(x-\cos{\theta_k})$$
となる。これの定数項を比べると
$$1=2^{2m}\prod_{k=0}^{2m}(-1)\cos{\theta_k}$$
よって
$$\prod_{k=0}^{2m}\cos{\theta_k}=\frac{-1}{2^{2m}}$$
となる。
よって結局
$$K^2=-\prod_{k=0}^{2m}\cos{\theta_k}=\frac{1}{2^{2m}}$$
であるため、
$$K=\pm \frac{1}{2^m}$$
となる。
ここでは、の絶対値のみを考えればいいため、符号はどうでもいい。
結局、
$$|\log_2|K||=\left|\log_2\left(\frac{1}{2^m}\right)\right|=|-m|=m $$
となる。
つまり、であることから最終的に提出すべき答えは
$$39$$
となる。問題文の式には床関数があるが、この中身は厳密に整数となるため考慮する必要はない。
余談(極限)
結局、以下のような等式が成り立つ。
$$\prod_{k=0}^{m - 1}\left|\cos{\left(\frac{2k+1}{2m+1}\pi\right)}\right|=\frac{1}{2^m}$$
logをとって整理すると以下のようになる。
$$\frac{1}{m}\sum_{k=0}^{m - 1}\log\left|\cos{\left(\frac{2k+1}{2m+1}\pi\right)}\right|=-\log{2}$$
ここで、ならば
$$\frac{k}{m}\leq \frac{2k+1}{2m+1}\leq \frac{k+1}{m}$$
となっている。これはリーマン和を考えると以下のようになる。
$$\lim_{m\to\infty}\frac{1}{m}\sum_{k=0}^{m - 1}\log\left|\cos{\left(\frac{2k+1}{2m+1}\pi\right)}\right|=\int_{0}^{1}\log{|\cos{(\pi x)}|}dx$$
この関数は連続であるためリーマン可積分である。よってこの極限操作は正当化される。
結局、以下のような等式が成り立つ。
$$\int_{0}^{1}\log{|\cos{(\pi x)}|}dx=-\log{2}$$
変数変換して整理すると以下のようになる。
$$\int_{0}^{\pi}\log{|\cos{x}|}dx=-\pi\log{2}$$
$$\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log{\cos{x}}dx=-\frac{\pi}{2}\log{2}$$