出典
誰でも参加できる2週間に渡るTwitter難問チャレンジ
— 数学夏祭り@絶賛開催中🎇 (@mathmatsuri) 2020年9月1日
数学夏祭り 第2問は「幾何」
「解答する、拡散する、解説する」
それぞれにキャンペーンプライズを進呈!
みんなで祭りを盛り上げよう!#数学夏祭り#数学夏祭り問2#数学夏祭り解説
参加方法は↓リプに続きます。 pic.twitter.com/6fTFwet8LD
攻略法
座標で置くのが確実であるように見えるが、計算量が多くなってしまう。
ということで若干初等幾何的な解法を考えてみることにした。
(ちなみに、この記事内での作図はdesmosというサイトを利用しています。)
図示
図にすると以下のようになる。
ここで、オイラー線というものがあるため、垂心・重心・外心は全て一直線上にあり、HG:GO=2:1を満たしている。
このことから、LとDもオイラー線上に存在することがわかる。
オイラー線の上での位置関係を図示すると以下のようになる。
ここで、
$$4 : x=(m-n) : n$$
となるため、
$$x=\frac{4n}{m-n}$$
となる。
結局、
$$\mathrm{GO}:\mathrm{GD}=1:\frac{4m}{m-n}$$
となっている。
四角形の分割方法
四角形ABCDの面積を求めよという文章を見ると三角形ABC+三角形BCDという和を求めたくなるが、この場合三角形BCDの面積を求めるときに計算量が多くなってしまう。以下のように分けてみるとうまくいく。オイラー線上での位置関係を考察したのはこのためである。
XはA,B,G,Cで囲まれた領域であり、YはB,D,C,Gで囲まれた領域である。
XとYの面積は比較的簡単に求まる。
実際、
- Xの面積は三角形ABCの面積のちょうど3分の2倍
- Yの面積は【B,O,C,Gで囲まれた領域】の面積のちょうど倍
となっている。
一応簡単な証明。
Xについては、重心が中線を2:1に内分することからわかる。(実際、三角形AGB,三角形BGC,三角形CGAで三角形ABCの面積をちょうど三等分している)
Yについては、点G,O,Dから辺BCへの垂線を下ろしたとき、三角形の相似から高さが辺の比になっていることからわかる。
よって、これらの面積を求めれば答えを出すことができる。
面積計算
今までは初等幾何的なアプローチだったが、ここからは三角関数的なアプローチをする。ここで、以下の三角比の値に注意
$$\tan{\frac{\pi}{8}}=\sqrt{2}-1,\tan{\frac{3\pi}{8}}=\sqrt{2}+1$$
証明はとおいたとき、倍角の公式よりという方程式を解けばよい。これは2次方程式になって、出てきた解のうち正であるものを取るとが出てくる。についてはの逆数であることから従う。
注:以降では、以下のような記号を使う。
- :三角形ABCの外接円の半径
- :BCの長さ,:CAの長さ,:ABの長さ
例えば、である。
まずは三角形ABCの面積を計算する。
である。三角形ABCの外接円の半径をRとしたとき、正弦定理より、
$$2R=\frac{a}{\sin{\frac{5\pi}{8}}}=\frac{a}{\sin{\frac{3\pi}{8}}}=\frac{a}{\cos{\frac{\pi}{8}}}=\frac{\sqrt{6}}{\cos{\frac{\pi}{8}}}$$
となる。
また、正弦定理より、
$$\frac{c}{\sin{\frac{\pi}{8}}}=\frac{\sqrt{6}}{\cos{\frac{\pi}{8}}}$$
であるため、
$$c=\sqrt{6}\tan{\frac{\pi}{8}}=\sqrt{6}(\sqrt{2}-1)=2\sqrt{3}-\sqrt{6}$$
となる。
すると三角形ABCの面積は
$$\frac{1}{2}ac\sin\angle B=\frac{1}{2}\cdot \sqrt{6}\cdot (2\sqrt{3}-\sqrt{6})\cdot \frac{1}{\sqrt{2}}$$
$$=\frac{3}{2}(2-\sqrt{2})$$
となる。
よってXの面積はこれの3分の2なので
$$X=2-\sqrt{2}$$
となる。
次にGBOCの面積について考える。これは三角形GBC+三角形BOCで分けて考えるといいだろう。
三角形GBCの面積については三角形ABCの3分の1なので
$$\frac{1}{2}(2-\sqrt{2})$$
となる。一方三角形BOCについては図のようになる。
円周角の定理からであることがわかり、となっている。よって三角形BOCの面積は
$$\frac{1}{2}R^2\sin{\frac{3\pi}{4}}=\frac{1}{2\sqrt{2}}R^2$$
$$=\frac{\sqrt{2}}{4}\cdot \frac{6}{4\cos^2{\frac{\pi}{8}}}=\frac{3\sqrt{2}}{4(1+\cos{\frac{\pi}{4}})}$$
となる。ここで、正弦定理よりである。最後の等式はcosについての倍角の公式より従う。
これを整理すると
$$=\frac{3\sqrt{2}}{4+2\sqrt{2}}=\frac{3(\sqrt{2}-1)}{2}$$
となる。結局GBOCの面積は
$$\frac{1}{2}(2-\sqrt{2})+\frac{3}{2}(\sqrt{2}-1)=\frac{1}{2}(2\sqrt{2}-1)$$
となる。
Yの面積はこれの倍であるため、
$$Y=\frac{2m(2\sqrt{2}-1)}{m-n}$$
となる。
よって最終的な答えは
$$(2-\sqrt{2})+\frac{2m(2\sqrt{2}-1)}{m-n}$$
であり、これを整理すると
$$\frac{3\sqrt{2}m-(2-\sqrt{2})n}{m-n}$$
となる。
余談(座標で置いたときの解法)
Bを、Cをとおいて、他の点の座標を考える。
このとき、Aは
$$y=x,y=-\tan{\frac{\pi}{8}}(x-\sqrt{6})$$
という連立方程式の解であるため、に注意すると
$$A=(\sqrt{6}-\sqrt{3},\sqrt{6}-\sqrt{3})$$
が出てくる。
他の点の座標も求めてみる。
まず重心については、3頂点の座標の平均を取ればよい。
すると
$$G=\left(\frac{2\sqrt{6}-\sqrt{3}}{3},\frac{\sqrt{6}-\sqrt{3}}{3}\right)$$
となる。
垂心については各辺の垂線の交点である。
BのACに対する垂線はであり、
AのBCに対する垂線はであるから、これを連立させると
$$H=(\sqrt{6}-\sqrt{3},\sqrt{3})$$
が出てくる。
外心については垂直二等分線の交点であるから、
$$x+y=\sqrt{6}-\sqrt{3},x=\frac{\sqrt{6}}{2}$$
を連立させることで
$$O=\left(\frac{\sqrt{6}}{2},\frac{\sqrt{6}-2\sqrt{3}}{2}\right)$$
が出てくる。
オイラー線上の点は
$$\overrightarrow{G}+t\overrightarrow{GO}$$
というベクトルで書けるため、以下のようになる。
$$\left(\frac{2\sqrt{6}-\sqrt{3}}{3},\frac{\sqrt{6}-\sqrt{3}}{3}\right)+t\left(\frac{-\sqrt{6}+2\sqrt{3}}{6},\frac{\sqrt{6}-4\sqrt{3}}{6}\right)$$
これは、
- のとき、垂心H
- のとき、重心G
- のとき、外心O
- のとき、L
- のとき、D
に対応している。よってを代入してDのy座標を計算すると答えを出すことができる。ただし計算量が多いのでWolfram Alphaに頼るのが良いのかもしれない。
ちなみにオイラー線の方程式は以下のようになっている。
$$y=-(3+\sqrt{2})x+2\sqrt{6}$$