斜回転体って難しいですよね。自分も大学入試の滑り止めを受けるときに出て返り討ちにされたので苦手意識があります。
斜回転体といえば傘型分割ですが、これはパップスギュルダンでもいけるのでは?と思ったので解いてみることにしました。
例題
問題は受験の月からパクってきました。
$y=x^2$と$y=x$で囲まれた部分の面積を$y=x$の周りに一回転してできる立体の体積は?
解答
$D=\{(x,y)\in\mathbb{R}^2;x^2\leq y\leq x,0\leq x\leq 1\}$
とする。$D$を$y=x$を軸に回転させたときの体積を求めればよい。
① $D$の面積を求める
$$\iint_{D} dxdy=\int_{0}^{1}\int_{x^2}^{x}dydx=\int_{0}^{1}x-x^2dx=\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{3}=\dfrac{1}{6}$$
② $D$の重心を求める
$$\iint_{D}x dxdy=\int_{0}^{1}\int_{x^2}^{x}xdydx=\int_{0}^{1}x^2-x^3dx=\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}=\dfrac{1}{12}$$
$$\iint_{D}y dxdy=\int_{0}^{1}\int_{x^2}^{x}ydydx=\int_{0}^{1}\left[\dfrac{1}{2}y^2\right]_{y=x^2}^{y=x}dx$$
$$=\dfrac{1}{2}\int_{0}^{1}x^2-x^4dx=\dfrac{1}{2}\left(\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{5}\right)=\dfrac{1}{15}$$
$D$の重心は
$$\left(\dfrac{\iint_D xdxdy}{\iint_D dxdy},\dfrac{\iint_D ydxdy}{\iint_D dxdy}\right)$$
なので、
$$\left(\dfrac{1/12}{1/6},\dfrac{1/15}{1/6}\right)$$
$$=\left(\dfrac{1}{2},\dfrac{2}{5}\right)$$
一応検算しておくと、$(1/2,2/5)$は,$1/4=1/2^2\leq 2/5\leq 1/2$なので$D$内部にあるので問題なさそうである。(一般的に重心が領域内部にあるという保証はないが、今回の例題の場合$D$は凸*1な領域なので、重心は内部にあると言えるはず。)
③重心と直線の距離
点と直線の距離の公式を使えばOK。点$(1/2,2/5)$と直線$x-y=0$との距離を求める。
$$\dfrac{|1\cdot 1/2 - 1\cdot 2/5+0|}{\sqrt{1^2+(-1)^2}}=\dfrac{\sqrt{2}}{20}$$
④体積
パップスギュルダンの定理は回転体の体積を求めるときに
(Dの面積)×2π×(Dの重心と直線の距離)
で求められるので、
答えは$$\dfrac{1}{6}\cdot 2\pi\cdot \dfrac{\sqrt{2}}{20}=\dfrac{\sqrt{2}\pi}{60}$$
感想
パップスギュルダンといえばドーナツの体積を計算して楽しんでるイメージしか無かったですが、こういう斜回転体にこそ真価を発揮するのではと思いました。
*1:凸の定義:任意のp_1,p_2 in D,t in [0,1]に対して、p_1 t+p_2 (1-t)がDの元となる