邦楽で見る世界人口の推移

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導入

サムネ画像にある曲のタイトルの共通点とは何だろうか?そう、世界人口がタイトルに含まれている曲である。

ところで、世界の人口というものは時代によって変動するものである。すると曲における人口の表現は、人口の変化によって時代とともに変化していくことになるだろう。そこで、実際に人口の変化とともに歌詞がどう変化していったかを調査してみることにした。

調査方法

歌詞検索サービス 歌ネットで「億」と検索して、世界人口の数値が歌詞または曲のタイトルに含まれていそうなものを独断で選んだ(手作業!)2022年1月2日現在、歌詞に「億」が含まれている曲は2080曲あったが、その中で人口を表しているだろうと判断したものは218曲であった。

手作業なので見落としがあるかもしれないが、その際は指摘するなりしてほしい。

 

また、「数十億人」といった曖昧な表現は除外する。

ただし、「六十数億人」は「60億人」と見なす。つまり有効数字一桁以上なら採用する。

 

曲の日付はリリース日とする。

 

世界人口のデータは国連のサイトから引っ張ってきた。そのデータは「西暦n年にm人」といった形式だが、それを「西暦n年1月1日にm人」と解釈した。

調査結果

世界人口と歌詞上の人口の比較をした結果、以下のような結果となった。

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世界人口と歌詞上人口の比較 歌詞のデータの出典はuta-net.com 世界人口のデータの出典はUnited Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division (2019). World Population Prospects 2019, Online Edition. Rev. 1.

データの特徴

※あくまで自分の調査範囲なので、漏れがあるかもしれない。ある場合は指摘するなりなんなりしてほしい。

  • 人口を歌詞に初めて入れたのはTHE BLUE HEARTSの「ハンマー(48億のブルース)」である。今回のデータにおけるこの曲のリリース日については、自主制作としてのリリース日である1987年2月25日を採用している。
  • 1995年7月15日リリースの「新二十一世紀音頭 with 三波春夫」(植木等)の歌詞には65億とあるが、その数値は当時の世界人口よりも多い。(世界人口を上回るケースは珍しい)65億を初めて用いたのはこの曲である。
  • 世界人口を用いた歌詞は2000以降から徐々に増えていった
  • 人口は多くの場合、有効数字一桁である。残りの殆どは有効数字二桁である。有効数字三桁以上はほとんど見かけなかった。
  • 最も有効数字が大きいのは 60億+2 / JAMIL (6000000002) と、 Boat of Fools / 鈴木慶一 (6643617877) である。
  • 60億を初めて歌詞に用いたのは Jewel Fish / GARNET CROW(2001) である。
  • 70億を初めて歌詞に用いたのは NEXT ARCADIA / 水樹奈々(2010) である。
  • 80億を初めて歌詞に用いたのは 80億分の1 / ソナーポケット(2021) である。
  • 人口を歌詞に用いる曲の傾向としては、「(世界人口)の中から君を選んだ」みたなラブソング、世界についてスケールの大きいことを語っている曲、社会問題について問題提起しているような曲、が多い印象を受けた。
  • 世界人口が70億になったのは2011年である。2011年以降になっても60億という歌詞は長い間存在しているが、時代とともに徐々に減ってきている。
  • グラフ上では100億が2つ存在しているが、それは 永久欠番 / 中島みゆき と SOUND BOY THRILLER feeeeeeeeeeat. LISA / m-flo である。100億になると人口かどうかの判定が難しくなるので見落としが多くあるかもしれない。

まとめ

少々の外れ値はあったが、やはり世界人口の増加とともに歌詞上の人口も増加傾向となっていた。有効数字一桁の60億・70億・80億はより多く使われている(語呂の問題?)が、それぞれの値が歌詞に採用される回数は急な増減ではなく、徐々に増加・減少をしている。

また、歌詞に採用されるにあたって、語呂の良さも重要な問題であるから世界人口の値として若干の誤差が許容されている場合もあると考えられる。

世界人口が80億人になるのは2024年と予測されている。【追記:2022年11月15日でした】それに伴って「80億人」といった歌詞も今後増加傾向になると見られる。